「姿勢」を考える

そもそも「姿勢とは何か」という定義は、なかなか難しい問題です。『広辞苑』によれば「姿勢とは、からだの構え、からだつき。事に当る態度」と表記されています。

運動学的には、「姿勢postureとは、身体各部(頭、体幹、四肢)の相対的な位置関係=構えatitudeと、身体と重力との関係=体位positionの組み合わせで表現される」と、やたらと難しい定義になっています。構えは、前かがみ、腕を上げる、膝を曲げるなど。体位は立位、座位、臥位などです。

整形外科の見地からすれば、身体各部のアライメント(並び)、すなわち、骨格のつながり(体軸)が適正か異常かが問題となります。

ここでは、専門用語が繰り返し書かれています。臥位=寝る姿、側臥位=横向きで寝る姿、仰臥位=仰向けで寝る姿、睡眠姿勢=睡眠中の姿勢のことだというのは、もうおわかりいただけたと思います。さらに、頚椎は首の骨、胸椎は胸の骨、腰椎は腰の骨のことで、この3つを総合して脊椎と表現しています。

立位姿勢において、よい姿勢の評価の基準となるのが重心線です。重力は人体を地球の中心に引っ張る力で、この方向を鉛直方向と呼びます。重力環境下で行われるすべての体の姿勢や身体運動は力学の法則に則っています。重力は私たちの身体運動を支配する普遍的な存在なのです。

つまりヒトの体を物体と考えれば、質量中心(重心)の移動は、必ず力学的法則に則って起こります。これからお話しする睡眠中の寝返りも、重力下における重心の移動に他なりません。

姿勢保持に必要なエネルギー消費を最小限にするために、重心線が理想的なアライメントからはずれたら、ただちに元に戻すような代償性姿勢戦略が働いています。これは重力に抗して働く筋肉と、外的刺激に対して姿勢を維持する神経の調節機構によって行われます。