ライフスタイルに伴って、姿勢は変化する

枕を語る上で、枕だけではなく、人間の姿勢というものについても考えねばなりません。

私たち人間は、重力に抗してゆっくりと身体機能を適応させてきました。人類は二足歩行をする猿人から脊椎の彎曲が減少し背筋の伸びた姿勢へ進化しました。

しかし、文明の発達に伴い道具を使いこなすようになった現代人のライフスタイルでは、これに逆行するかのように、重力に負けた不良姿勢となっています。

たとえば、安楽椅子に座った不良姿勢でテレビを見たり、パソコンに向かった前かがみの姿勢などが典型的な例です。

軟らかくゆったりした休憩用の椅子では、体が沈み込み背中は丸くなりますから、首や腰の神経を圧迫してしまいます。

また、前かがみの姿勢を長時間続けていると、目の疲れが生じるのはもちろんのこと、背部の伸筋が弱くなり、より一層不良姿勢になったり、痛みなどの症状が出現することもあります。

立位の歩行解析は、身体運動学において多くの研究者によって行われています。

座位のシーティング解析(椅子の座面の形状や圧力等と人体の関係)も、車椅子や乗り物のシートの研究において盛んに行われています。そのため、これらについては分析機器、評価方法などの研究手法がかなり確立されています。

しかし、臥位における寝返りの運動解析は非常に少ないために、コンセンサスを得た研究手法がない状態です。

臥位の運動解析のためには、体軸の理論と同様で、まず立位や臥位で用いる手法の何が応用できるか、といった模索から始めなければなりませんでした。